いつかこれで命拾いするかもしれませんよ?
直径10ナノメートル、水素原子2億個!
人がつくった合成分子としては押しも押されぬ過去最大の合成分子「PG5」です。生成に成功したのは、スイス連邦工科大学チューリッヒ校のDieter Schlüter氏率いる科学者のチームなんですが、人体の局所にターゲットを絞った薬の投与を可能にするオーダーメードの分子合成の次なる重要な一歩として熱い注目が集まってるんですよ。
これまではこういう巨大な合成分子は、生成を進めていくと、ある時点で自壊するのでサイズもケーパビリティも限られていました。が、PG5は別格。
これだけ大きなものが生成できたのは、独マインツのマックス・プランク高分子研究所のKlaus Mullen氏が「乱暴なトリック」と呼ぶ離れ業をいろいろ駆使したおかげなのですよ。僕の頭じゃ難しくてついていけないけど…以下に引用しておきます。
PG5を合成する際、Schlüter氏は小さな分子を長い鎖…いわゆるバックボーン(骨組)に組み上げる標準的なポリメリゼーション(重合) 反応を、他の有機化学の分野の反応と大胆に組み合わせた。どちらとも技術としては標準的なものなので、これまで「そこまでの勇気がなくて」巨大合成分子の 生成に尻込みしていた他の研究者も氏のチームの研究を見て挑戦する励みになるに違いない、とSchlüter氏は話している。
専門薬(おそらく抗がん剤も)をこのPG5に「ドッキング」したり、PG5の結合パーツの巨大ネットワークの中に「折り畳んで」運べば、体内の特定の部位・腫瘍に直接投与できるので、より効果も高まる、とのこと。製薬業界に信じられないほどの衝撃を与える可能性もある生命のツリー「PG5」に今後も注目ですね。
引用元: 「乱暴なトリック」で合成に成功! 水素原子2億個分の質量を持つ史上最大の人工合成分子「PG5」 : ギズモード・ジャパン.
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