米フェルミ国立加速器研究所(イリノイ州)は7日、同研究所の大型加速器テバトロンで、現代素粒子物理学の枠組みである「標準模型」で想定されない全く 未知の粒子が見つかった可能性がある、と発表した。自然界にある4種類の力以外の力の存在を示唆しており、確認されれば、私たちの自然観を変えるノーベル 賞級の発見となる。
自然界には、比較的なじみのある重力や電磁力に加え、原子核の中で陽子や中性子を結びつける「強い力」と、原子核の崩壊を起こす「弱い力」と計四つの力 があると考えられる。標準模型は重力を除く三つをうまく説明し、反する現象がほとんど見つからないことから、自然の状態を説明するのに都合がいいと考えら れている。
ところがテバトロンの実験で、トップクォークと呼ばれる素粒子よりやや軽い質量(140ギガ電子ボルト程度)を持ち、「第5の力」ともいうべき未知の力の特徴がある粒子の存在を示すデータが得られた。
この粒子は質量の起源とされる「ヒッグス粒子」、宇宙の質量の約2割を占める暗黒物質の候補「超対称性粒子」といった存在が想定されながらも未発見の粒子とは別だ。
現在99.93%の確率で確認しているが、素粒子物理学の慣例で確率99.9999%で確認しないと「発見」と見なされないため、テバトロンの実験チームは、ヒッグス粒子探しなどで競う欧州の大型加速器LHCのチームとも協力してデータを積み重ね、確認を目指す。
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