給油の際にガソリンのにおいなどで気分が悪くなった経験がある人も多いかと思われますが、実際にガソリンスタンドやその周囲の空気はほかと比べて汚染されているのでしょうか?
スペインで行われた研究により、ガソリンスタンドは半径100m近くまでの空気に影響し、発癌物質であるベンゼンのような空気中の有機化合物の濃度が高くなっていることが明らかになりました。家の近所にスタンドができると不動産価値が下がる、というようなこともあるのかもしれません。
詳細は以下から。
Gas stations pollute their immediate surroundings, Spanish study findsムルシア大学の化学者たちは、まずムルシア都市部の各地で大気中の汚染物質濃度を測定したのち、ムルシア市内の3つのガソリンスタンドおよびその周辺で、大気汚染物質のうち代表的な芳香族化合物(ベンゼン)と炭化水素(ノルマルヘキサン)の濃度を測定し、ガソリンスタンドが空気中の汚染物質の濃度に影響をおよぼす範囲を調べました。論文はJournal of Environmental Management誌に掲載されています。
特に工場などがない市街地では交通(自動車の排ガス)が大気汚染物質の主要排出源となり、交通量に準じて汚染物質の濃度は変化します。ガソリンスタンドで は燃料が揮発することにより汚染物質濃度を押し上げているわけですが、今回の調査ではポンプのすぐそばから始めスタンド周辺の汚染物質濃度を測定し、この 揮発燃料による「上乗せ」効果が消えるまでの距離を調べました。
その結果、ガソリンスタンドが空気に影響をおよぼす範囲は平均で半径50m程度、最大で100m近くの距離まで汚染物質濃度を上乗せしていることが明らか になりました。この距離は、スタンドにあるポンプの数や給油量、交通量や天気、周囲の構造(建築物や道路など)といったさまざまな要素に左右されるのです が、交通量が多くガソリンスタンドがなくてももともと汚染がひどい場所ほど、スタンドによる影響は小さくなるとのことです。
既存のガソリンスタンドの移動などは難しいかもしれませんが、今後のスタンド新設や住宅建設などの際の指針として、住宅とガソリンスタンドの距離は最低で も50m、医療機関や学校、高齢者住宅など特に「影響を受けやすい」施設では100mの距離をとるべきだ、と研究者はアドバイスしています。
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