“ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則”の要点まとめ

・ビジョンを持っている企業、未来志向、先見的な(ビジョナリー)企業であり、業界で卓越した企業、同業他社の間で広く尊敬を集め、大きなインパクトを世 界に与え続けてきた企業。ビジョナリー・カンパニーは組織であり、商品のライフサイクルを超え、優れた指導者が活躍できる期間を超えて、ずっと繁栄し続け る。
・基本理念と高い要求にぴったりと合う者にとってだけ、素晴らしい職場。うまく適応して活躍するか、病原菌が何かのように追い払われるのどちらか。存在意 義、達成すべきことをはっきりさせているので、厳しい基準に合わせようとしなかったり、合せられない者には、居場所はない。
・企業として早い時期に成功することと、ビジョナリー・カンパニーとして成功することは、逆相関。起業し、ビジョナリー・カンパニーを築きたいが、「素晴 らしいアイデア」がないため、一歩を踏み出せないのは、素晴らしいアイデアの神話という重荷を肩から下ろすこと。素晴らしいアイデアを見つけてから会社を 始めることにこだわらない。
・世間の注目を集めるカリスマ的スタイルは不必要。製品について素晴らしいビジョンを考えたり、カリスマ的指導者になろうと考える時間を減らし、組織についてのビジョンを考え、ビジョナリー・カンパニーとしての性格を築こうと考える時間を増やす。
・安心感は、ビジョナリー・カンパニーにとっての目標ではない。ビジョナリー・カンパニーは不安感をつくり出し(自己満足に陥らないようにし)、それによって外部の世界に強いられる前に変化し、改善するよう促す強力な仕組みがある。
・ビジョナリー・カンパニーになるには、昔ながらの厳しい自制、猛烈な仕事、将来のための絶えざる努力がイヤというほど必要。
・権限を委譲し、結果に責任を持たせる。従業員にその仕事をする能力が明らかにない場合は、その従業員にできる仕事を見つけるか、その場で解雇する。

時計を作れ

・時計なしに時を告げる人がいた。時を告げるだけでなく、自分がこの世を去った後も、永遠に時を告げる時計を作ったら、もっと驚くべきこと。カリスマ的指導者は、時を告げる。いくつもの商品ライフサイクルを通じて繁栄し続ける会社を築くのは、「時計をつくる」こと。
・会社を究極の作品と見る。製品ラインや市場戦略について考える時間を減らし、組織の設計について考える時間を増やす。時を告げるために使う時間を減らし、時計を作る為に使う時間を増やす。

BHAG(社運をかけた大胆な目標: Big Hairy Audacious Goals)

・BHAGは、人々の意欲を引き出す。人々の心に訴え、心を動かす。具体的でワクワクさせられ、焦点が縛られている。誰でもすぐに理解でき、説明する必要はない。
・BHAGは、極めて大胆で、理性的に考えれば、とてもまともとは言えないが、一方で、それでもやってできないことはないと主張する意欲的な意見が出てくる灰色の領域に入る。
・BHAGには、それを達成した後、目標達成症候群にかかって組織の動きが止まり、停滞する危険がつきまとっている。次のBHAGを準備しておく。またBHAG以外にも、進歩を促す方法をもっておく。
・BHAGは会社の基本理念に沿ったものでなければならない。

病原菌か何かのように追い払われる

・ビジョナリー・カンパニーは自分たちの性格、存在意義、達成すべきことをはっきりさせているので、自社の厳しい基準に合わない社員や合わせようとしない 社員が働ける余地は少なくなる傾向がある。企業の考え方を心から信じて、献身的になれるのであれば、本当に気持ちよく働けるし成果も上がる。しかし、そう でないのなら、いずれ辞めていくことになる。病原菌か何かのように追い払われる。白か黒がはっきりしており、カルトのよう。
・従業員に権限を与えて、分散型の組織をつくりたいと考えている企業は、理念をしっかりさせ、従業員を教化し、病原菌を追い払い、残った従業員にエリート 組織の一員として大きな責任を負っているという感覚を持たせる。適切な役者を舞台に立たせ、正しい考え方を教え込み、その上で、状況に応じたアドリブを使 う自由を与える。基本理念を中心に、カルトのような同質性を求めることによって、企業は従業員に実験、変化、適用を促すことができ、そして何よりも、行動 を促すことができる。
・ノードストロームでは、基本的な価値と基準を守ってさえいれば、仕事を進めるために何をやってもいい。

アイデア発想

・失敗は当社にとって最も大切な製品
・多数の実験を行い、機会をうまくとらえ、うまくいったものを残し、うまくいかなかったものを手直しするか捨てる
・採用するアイデアは本質的に新しいものでなければならない。社会のニーズに合致し、まともな問題を解決するもの。いくら革新的でも、製品にならないも の、いつか誰かが用途を探し出すはずのものには、3Mは興味を持たない。ポストイットの開発には偶然の積み重ねという部分があったとしても、その開発を可 能にした3M の環境は、偶然の産物ではない。
・進化による進歩を促す5つの教訓
1. 試してみよう。なるべく早く
2. 誤りは必ずあることを認める。
3. 小さな一歩を踏み出す:何か革新的なことをやりたいのであれば、実験する許可を求めるのが最善の方法。
4. 社員に必要なだけの自由を与えよう
5. 重要なのは仕組みである。着実に時を刻む時計を作る(3Mで優秀な技術者として認められたいのなら、自分の技術を社内全体に広める)

有名企業戦略

・P&G は最高の人材、製品、マーケティング組織を持っているので、 P&G の最高のもの同士を戦わせる。市場に十分な競争がないのであれば、内部で競争する仕組みを作る。
・ボーイングは、管理職に、競争相手の立場に立って、ボーイングを壊滅させる戦略を立案する。競争相手が利用できるボーイングの弱点はどこにあり、どのような強みを利用し、どの市場なら簡単に進出できるか?こうして作られた戦略に基づき、とるべき戦略を考えていく。

一貫性の教訓

1. 全体像を描く:ビジョナリー・カンパニーは基本理念を維持し、進歩を促すために、制度、戦略、戦術、仕組み、文化規範、象徴的な動き、CEO の発言全てを何度も繰り返す。
2. 小さな事にこだわる:従業員は会社と事業の、小さな細部に取り組んでいる。ウォルマートが一番下のレベルの従業員にも部門の財務報告書を渡しているのは、 「会社のパートナーであり、当社は皆さんが自分の部門を自分自身の小さな事業だと考えて経営するよう願っている」というシグナルを送っている。従業員は職 場環境にあるシグナルなら、全てを認知し、自分がどのように行動すべきかを考える材料にする。従業員は小さな事を見逃さない。ささいな点に言行不一致があ ると、それを見逃さない。
3. 下手な鉄砲ではなく、集中放火を浴びせる:ビジョナリー・カンパニーはいくつもの仕組みや過程を互いに強化しあい、全体として強力な連続パンチなるように仕組みや過程をもつ。
4. 流行に逆らっても、自分自身の流れに従う:「これは良い方法なのか」ではなく、「この方法は当社に合っているのか、当社の基本理念と理想に合っているのか」。
5. 矛盾をなくす
6. 一般的な原則を維持しながら、新しい方法を編み出す:ビジョナリー・カンパニーになるためには、基本理念が必要。また、進歩への意欲、基本理念を常に維持し、進歩を促すように、全ての要素に一貫性がある。
・一貫性を達成する作業は終わりのない過程。矛盾が出てきたら、早くなくす。矛盾はガン細胞と考える。組織の全体に広がらないうちに、早く切除する。

引用

・起業家のようなやる気と創意工夫がない者は、理念を受けつけない者と変わらないほど、失敗する確率が高い。
・顧客の要求に従っていけば、基本理念から離れてしまう場合、顧客の要求を無視する。顧客に密着するのは正しいが、それによって基本理念を犠牲にしてはならない。

引用元: “ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則”の要点まとめ?ブクペ?.

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