内部告発文書:米国の「秘密」25万通公開 民間サイト

内部告発文書をインターネット上で公開する民間ウェブサイト「ウィキリークス」は28日午後(日本時間29日午前)、「秘密」指定の公電約1万 5000通を含む、米国の外交公電約25万通の公開を始めた。各国の米大使館から国務省に報告されたもので、他国首脳らとの生々しいやり取りも含まれてい る。外交上支障が出るのは必至で、ホワイトハウスのギブス大統領報道官は「盗まれた秘密の文書を公開することでウィキリークスは人命を危うくした。強く非 難する」などとした声明を発表した。

事前に情報提供を受けた米ニューヨーク・タイムズ紙によると、公電には、北朝鮮が近年、開発した中距離弾道ミサイル「ムスダン」をイランが19基 入手したとの情報が含まれていた。ムスダンは、旧ソ連の潜水艦搭載弾道ミサイルを改良したもので核搭載が可能。射程は3000キロ以上といわれ、計算上、 イランは西欧各国を射程圏内に収めることになる。今年10月の北朝鮮の軍事パレードで初めて公開されていた。この公電は今年2月24日付で、ロシア当局と 米国務省の不拡散担当幹部との間の情報交換に関するものだった。

また、別の公電には、米韓両国の当局者が北朝鮮が崩壊し、南北が統一される見通しについて議論した記録があった。スティーブンス駐韓米大使が今年 2月、本国にあてたもので「韓国政府は中国に経済的な便宜を図れば南北統一に関する中国の懸念を軽減できると確信している」などと報告していた。

さらに、中国共産党政治局が、グーグルのコンピューターシステムに侵入するよう指示していたことを示す報告もあった。

同様に情報提供を受けた英ガーディアン紙は、サウジアラビアのアブドラ国王が米政府に対し、核開発計画をやめさせるためイランを攻撃するよう繰り返し求めていたと報じた。

ウィキリークスは今年7月と10月に、アフガニスタン戦争とイラク戦争に関する公電多数をネット上で公表。米連邦捜査局(FBI)と米軍はすでに 身柄を拘束している情報担当のマニング陸軍上等兵がリーク元とみて捜査を続けており、今回の公電も同じ出所の可能性が高いとみられている。

秘密公電を公表することが事前に発覚し、クリントン国務長官らは関係国に連絡を取り、釈明に追われていた。今回の公電は欧米のメディア5社に対し事前に提供されていた。

◇「ウィキリークス」が入手し、メディアが報じた米外交公電の骨子

・イランが北朝鮮から中距離弾道ミサイル「ムスダン」を入手

・米韓当局者が、北朝鮮崩壊後の南北統一の可能性を協議

・中国共産党政治局がグーグルのコンピューターシステムへの侵入を指示

・サウジアラビア国王が、米国にイラン攻撃を要求

・各国の米大使館が首脳らを酷評。金正日・北朝鮮総書記は「肉のたるんだ老人」

【ことば】ウィキリークス

政府や企業で働く人々に内部告発を呼びかけ、提供された情報を公開する国際的な民間ウェブサイト。オーストラリア人の元ハッカー、ジュリアン・ア サンジ氏が創設し、07年初めに存在が明らかになった。同氏ら5人程度が中心メンバーで、欧米のジャーナリストら1200人以上のボランティアがいるとさ れる。運営は寄付金に頼り、特定の場所に事務所を持たず、サーバーを世界中に分散させている。今年7月以降、アフガニスタン駐留米軍関連文書やイラク戦争 関連文書をネット上で公開。米政府は猛反発している。

引用元: 内部告発文書:米国の「秘密」25万通公開 民間サイト – 毎日jp毎日新聞.

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