宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日、目に見えない放射性物質による汚染状況を可視化できる特殊なカメラを開発したと発表した。人工衛星に搭載する高性能なカメラを改良、放射線の強さによって画像上に色分けして表示する。2月に福島県で実証実験をし、効率的な除染に活用できることを確認した。
2014年に打ち上げ予定のエックス線天文衛星に搭載し、宇宙空間で降り注ぐガンマ線をとらえる「半導体コンプトンカメラ」を地上用に改良した。視野角が180度と広く、東京電力が福島第1原子力発電所内で利用している機種を大きく上回るという。
特殊カメラでとらえた画像を、通常のデジタルカメラで撮影した画像と重ね合わせると、放射性物質の分布が一目で分かる。ガンマ線量が高いと赤色で表示する。
2月に日本原子力研究開発機構などと協力して計画的避難区域になっている福島県飯舘村で実証実験をした。20メートル程度離れた場所からもガンマ線を検出できた。
放射性セシウムなどがたまりやすい側溝や森の周辺などで、汚染が深刻な状況が確認できた。
JAXAは今後、実用化に向けた研究を進める方針で、福島県内で本格化する除染に生かす。
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