中部電力は7日、政府による浜岡原発(静岡県御前崎市)の全面停止要請の受諾に向け、最終調整に入った。電力の安定供給策などを協議する臨時の取締役会を同日にも開く。
全面停止による経営への影響などを検討するとともに、夏季の電力需要ピーク時に安定供給を維持できるよう、火力発電や他の電力会社からの融通など代替手段を見極めた上で、要請受け入れを決断するとみられる。
経済産業省原子力安全・保安院などは、中部電の電力供給量を最大3089万キロワット、夏のピーク時の需要量は2709万キロワットと予想。浜岡原発が全面停止すると、供給力が約360万キロワット減り、需給は一気に緊迫する。
中部電によると、夏季は冷房需要が高まるため、気温が1度上昇すれば80万キロワットの電気が必要になる。浜岡原発による電力供給をすべて火力発電で賄うと、燃料費として1日当たり7億円、年間で約2500億円の大幅な追加負担が生じる見通しだ。
中部電は6日夜、「(政府からの)要請内容を迅速に検討する」とした水野明久みずの・あきひさ社長のコメントを発表。中部電関係者も7日午前、「最高度の経営判断が必要。速やかに意思決定し、社会にお知らせすることが重要だ」とし、東海地震対策という要請の趣旨から早期の決断を迫られているとの認識を示した。
ただ、菅直人首相自身も認める法的な枠組みを超えた要請のため、中部電社内の一部には、ただちに受諾することへの異論が残るという。
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