インテルが22nm世代から3次元トランジスタ技術を量産適用

米Intel社は、同社が開発した「Tri-Gate」と呼ぶ3次元(3D)トランジスタ技術を22nm(ナノメートル)世代から量産に 適用すると発表した。同技術の採用で、現行のトランジスタ技術より性能が高く、かつ低消費電力のマイクロプロセサ製品を実現できると同社は主張する。 「3Dトランジスタ技術への移行により、ムーアの法則をさらに延長できる」(Intel社 Senior Vice President兼Technology and Manufacturing GroupのBill Holt氏)。

Intel社の「Tri-Gate」技術で製造した3Dトランジスタ(写真:Intel社)

従来のプレーナ型トランジスタ(左)とTri-Gateトランジスタ(右)を模式的に比較(図:Intel社)

Tri-Gate技術の概要(図:Intel社)

Tri-Gateを最初に採用するのは、開発コード名「Sandy Bridge」のマイクロアーキテクチャに基づいた「Ivy Bridge(開発コード名)」と呼ぶマイクロプロセサ製品である。報道機関向けのイベントで、このIvy Bridgeの試作品を搭載したノート・パソコンやデスクトップ・パソコン、サーバー機 の動作を実演した。同社Executive Vice President兼Intel Architecture Group、General ManagerのDavid Perlmutter氏によると、Ivy Bridgeの初期製品はサーバー機向けのマイクロプロセサになるという。続いてデスクトップやノート・パソコン向けのマイクロプロセサ製品に適用する予 定で、「その後はAtomのSoC製品にも利用する」(Perlmutter氏)。Intel社によると、Ivy Bridgeの量産準備は2011年末までに整えるという。

■電流チャネルを3つに

Intel社は、2002年に3Dトランジスタ技術の研究成果を公開している。Tri-Gateのトランジスタ技術では、基本的に半導体の 基板上にSi(シリコン)で製造する「ヒレ」状の形をした素子(フィン)を設ける。このフィンをトランジスタのゲート電極の材料によって取り囲む。これに より、ゲートとフィンの間の電流チャネルを3つ(フィンの両側面と上面)設けることができる。

従来のプレーナ型電流チャネルを採用したトランジスタではチャネルが1つだけで、3つある今回のTri-Gateトランジスタの方が電流の オン・オフの制御性を高められるという。漏れ電流も少なくなり、この結果「アクティブの状態だけでなくスリープ状態でも消費電力を低減できる」(同社 Intel Senior FellowのMark Bohr氏)とする。32nm世代に利用するプレーナ型トランジスタに比べると、Tri-Gateトランジスタの消費電力は半分以下に削減できると Bohr氏は主張する。ただし、Tri-Gateトランジスタ技術の利用により、半導体ウエハーの加工コストは2?3%上昇するという。

他社も、3Dトランジスタ技術の開発を進めている。これに対してIntel社は、「公開されている情報によると、他社は14nm世代に導入 する予定のようだ。我々は少なくとも3年間、先行することになる」(Bohr氏)。Intel社は22nm世代に続いて14nm世代にもTri-Gate を適用するが、同社によると、22nm世代でプレーナ型トランジスタ技術を利用する予定はない。「もうプレーナ型トランジスタとはグッド・バイだ」

引用元: インテルが22nm世代から3次元トランジスタ技術を量産適用  :日本経済新聞.

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