LHC、史上最高密度の物質を生成

1立方センチあたり400億トンの物質QGPを生成された。
LHCで超小型ブラックホールを生成すると言ってから何年経過したのか。何度も事故を起こして停止、次の再稼働日はこの日ですという記事を何度も見たけど、いつからか記事を追ってなかったな。
未知の物質を研究して成果がでれば人類のイノベーションにつながるのかもしれないけど、未知の物質であるだけに何が起きるか誰も正確には予測できない。ある日突然この世界が終わることもあるのではないか。原発事故で少しずつ蝕まれていくよりはマシかもしれないけど。

 

大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で昨年生成された超高温物質が、これまでに観測された物質の中で最高密度を記録した。

写真を拡大印刷用ページ友人に教える「クオークグルーオンプラズマ(QGP)」と呼ぶ物質の原初的な状態で、ビッグバン直後は宇宙全体がQGPで満たされていたと考えられている。太陽内部の10万倍以上の高温で、宇宙最高クラスの密度の中性子星よりもさらに高密度だという。?
QGPの観測に貢献したのが、LHCの「重イオン衝突実験装置ALICE」である。ALICEチームのリーダーでイギリスにあるバーミンガム大学の物理学者デイビッド・エバンス氏は、「ブラックホールを除けば、ここで生成されたQGPより高密度な物質は存在しない」と話す。「1立方センチあたり400億トンになる」。

◆完全液体のように振る舞う最高密度物質?
LHCの加速器は、高エネルギーの重イオン粒子を猛スピードで衝突させる。毎秒数百万回の衝突で、原子より小さな粒子がさらに小さく分裂し、ビッグバンから1兆分の1秒後の宇宙の姿を再現しようとしている。?
昨年、鉛イオン(電子を失った鉛原子)同士を光の速さとほぼ同じ速度で衝突させる実験が行われ、QGPの生成が確認された。?
その名が示す通り、クオークグルーオンプラズマは「クオーク」と「グルーオン」からなるプラズマ状態である。原子の中心部、原子核は正の電荷を持つ陽子と電荷を持たない中性子が構成している。各種クオークは、陽子や中性子の構成要素である。グルーオンはクオーク間の結合を媒介する粒子で、いわゆる「強い相互作用」を伝播(でんぱ)する役割を持つ。?
宇宙の温度が下がるにつれ、ビッグバン後に存在したQGPが集まって合体し物質を形成したと考えられている。?
アメリカ、ニューヨーク州アプトンにあるブルックヘブン国立研究所(BNL)の「相対論的重イオン衝突型加速器(RHIC)」でもQGP生成の実績があるが、LHCのQGPは量も温度もおよそ2倍に達する。?
双方の施設で生成されたQGPは非常によく似た性質を示している。例えば、どちらもほとんど摩擦のない「完全液体」のように振る舞う様子が確認されている。「もしコーヒーカップに入れてスプーンでかき回したら、止まらず永遠に回転し続ける」とエバンス氏は説明する。?
最初期の宇宙は、LHCよりも超高温状態だったと考えられる。一部の物理学理論によると、当時QGPは気体のような振る舞いを示していたはずだと予測している。クオークとグルーオンは完全液体よりもさらに自由に飛び交う状態で存在していたらしい。LHCで生成されたQGPも、ごく初期段階では気体のような振る舞いだった可能性がある。ALICEチームは現在、その証拠が得られないか分析を続けている。

◆高エネルギーと低エネルギーの物質生成?
RHICを擁するブルックヘブンの物理学部門代表トーマス・ラドラム氏は、今回の研究を受けて次のように述べる。「気体から液体への相転移が実際に観測されたら、驚くべきことだ。理論上は、現在のLHCの限界温度よりもはるかに高くなければ、この現象は発生しないと考えられている。ALICEチームの取り組みは興味深いが、成功は難しいだろう」。?
同氏はLHCの成果を歓迎している。「機械的なトラブルで本格稼働の再開が2009年末まで1年以上遅れたが、ようやく本格的に“ゲーム”へ参加してくれたようだ。われわれの低エネルギーQGPと、LHCの高エネルギーQGPを比較すれば、宇宙の温度低下に伴ってQGPがいつ、どのように変化していったのか手掛かりを得ることができるだろう」。?
LHCは最大エネルギーの半分程度で試験運用されている状態だ。ALICEチームは、将来的に装置の整備が進めばさらに高密度のQGPを生成できると期待している。?
今回の研究成果は、フランスのアヌシーで5月下旬に開催中の「2011年度クオーク物質国際会議(Quark Matter 2011)」で発表された。

引用元: ニュース – 科学&宇宙 – LHC、史上最高密度の物質を生成(記事全文) – ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト.

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