基準内の食品 冷静な対応を 「被ばく」積算量には注意

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福島第一原発事故で拡散する放射性物質による汚染で、農、水産物の風評被害が拡大している。安全性を示す基準は「シーベルト」と「ベクレル」とい う単位が使われ、消費者には分かりにくい。自然界からも普通に浴びている放射線。どの程度で安全とされるのかを理解し、過剰な恐怖を抱かないようにした い。 (稲田雅文)

放射性物質は風に乗るなどして広がった。空気中に漂ったり、地面に落ちたりして放射線を出し続け、皮膚などへの「外部被ばく」の形で人体に影響を 与える。野菜や魚、水も放射性物質で汚染される。呼吸や食事を通じて放射性物質が体内に入り、体内から放射線を受けるのが「内部被ばく」だ。

放射線が、がんや遺伝子への影響のリスクをどれぐらい与えるか、を表す単位が「シーベルト」。外部被ばくは毎日報道される大気中の放射線量で分かる。注意したいのは、これが一時間当たりの数値ということだ。

放射線量が平常時よりやや高い毎時〇・〇〇〇二ミリシーベルト(〇・二マイクロシーベルト)の場所に一カ月いた場合、積算で〇・一四四ミリシーベルトの被ばくとなる(一ミリシーベルトは一シーベルトの千分の一、一マイクロシーベルトはさらに千分の一。

内部被ばくの場合は複雑だ。食べるのと吸い込むのとでは、放射性物質の体内での振る舞いが違う。子どもには影響が強く出る。今回の事故を受けて、 国は飲食物に含まれる放射性物質の暫定規制値を設けた。ここで使われている単位が「ベクレル」で、放射性物質が放射線を出す能力を指す。

国際放射線防護委員会(ICRP)は、さまざまな放射性物質を摂取した場合、ベクレルからシーベルトに換算する係数を公表している。そこで放射性の「ヨウ素131」を基準値いっぱい含んだ各種の食品を、成人が一カ月間飲食し続けた場合の被ばく量を試算してみた。

一キロ当たり三〇〇ベクレルの水を一日二リットル飲むと〇・三九六ミリシーベルト。同三〇〇ベクレルの牛乳を一日二百cc飲むと〇・〇三九六ミリ シーベルト。同二〇〇〇ベクレルの野菜と魚を一日百グラムずつ食べると、それぞれ〇・一三二ミリシーベルトになる。外部被ばくとの合計被ばく量は約〇・八 四ミリシーベルトとなった。

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自然界から受ける放射線量の国内平均は年一・五ミリシーベルト。これ以外に浴びる限度は、一般の人で年一ミリシーベルトとされてきた。現実には、 この例のように放射能の量が高い食品ばかりを食べることはないだろう。ただ、被ばくは、さまざまな経路で積み重なることは頭に入れたい。

名古屋大大学院の井口哲夫教授(放射線工学)は「規制値はかなり保守的に厳しく設定された数値。基準内で流通する食品を食べる限り、健康に影響はない」と語る。

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<ベクレル> 放射線出す能力の単位

原子炉から漏れた放射性物質の原子核は不安定な状態で、放射線を出し別の安定した原子核に変わる。害があるのが放射線。エネルギーを持つため、大量に人体に当たると、細胞やその中の遺伝子を壊して病気の原因となる。

ベクレルは放射線を出す能力を示し、一ベクレルは一秒間に一つの原子核が壊れ、放射線を出すことを意味する。

火に例えれば、放射能が火力、放射線は熱で、ベクレルは火力の目盛りに相当する。

<シーベルト> 体への影響を表す単位

放射線は、火のように炎や熱で感じられないため、“やけど”をしないよう、人体に与える影響を考えて決めた単位が「シーベルト」。強い放射線を浴 びた場合、五〇〇ミリシーベルトでリンパ球の減少などの影響が出始め、その倍の一シーベルトを超えると、吐き気や脱力感などの自覚症状が出る。

一般の人が問題になるのは、大気に放出された放射性物質による長期的な影響だ。数年から数十年をかけて、がんなどの病気となる可能性があるためだ。健康に影響が出始める量は、合計一〇〇ミリシーベルト以上を受けてからとされる。

しかし、一度に強い放射線を浴びるのと違い、弱い放射線を時間をかけて受けた場合は、やけどが治るように遺伝子も修復され、病気に発展するリスクは低くなる。

引用元: 中日新聞:基準内の食品 冷静な対応を 「被ばく」積算量には注意:暮らし(CHUNICHI Web).

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