WHOの「飲用水の安全性について」は必読

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(筆者注:各行上から「WHO飲用水質ガイドライン」「日本の現行の放射能濃度制限基準」「同基準の乳幼児向け」 「IAEAが定める原子力緊急事態における放射能濃度規制基準」 / 各列左から「飲用水の放射能濃度制限基準の分類」「放射能濃度基準値Bq/kg or Bq/l」、「想定される年間放射線被曝量」、「仮にその濃度で1年間摂取した際に想定される健康へのリスク」)

(1) WHO Guidelines for Drinking-water Quality should not be taken as the reference point for nuclear emergencies because the levels set are extremely conservative and designed to apply to routine lifetime intake.(10Bq/kg・・・WHOの飲用水質に関するガイドラインで、原子力関係の非常事態においては参考にされるべきではない:それらの基準 は慎重を期して低く定めたものであり、主に一生涯にわたって摂取することを想定したものである / この被曝量が1年間続いても、ニューヨーク?ロンドン間を飛行機に乗って移動した時の被曝量と同じぐらいに過ぎない)

(2) Provisional regulation values relating to limits on food and drink ingestion, established by the Japanese Food Sanitation Act, as indicated by the Nuclear Safety Commission of Japan. These standards are precautionary and have taken into consideration international guidance, including IAEA and the International Commission on Radiological Protection recommendations.(300Bq/kg・・・日本の原子力安全委員会によって示され、日本国内の食品衛生法が定めた食物と飲用水の摂取制限 に関する暫定基準。これらの基準は予防的なものであり、IAEAおよびICRPの勧告などの国際基準を考慮したものである / この被曝量が1年間続いても、自然界の放射線を普段通り生活していて1年間浴びる量と同じぐらいか、もしくは胸部レントゲン撮影を10?15回受けるのと 同じぐらいの被曝量)

(3) As in (2) above, but applicable to drinking-water used to prepare baby food. This level is equivalent to the international guideline set by Codex Alimentarius for infant food. (100Bq/kg・・・上記2と同様だが、特に乳幼児食に用いられる飲用水に対して適用される基準。これは国際食品規格委員会によって定められた国際ガ イドラインと同等のものである)

(4) IAEA Safety Guide GSG-2 established Operational Intervention Levels (OILs) which would be the default international guidance levels for the early stage of an emergency.(3000Bq/kg・・・IAEAの放射線被曝に対する安全基準ガイドラインGSG-2が定める、原子力緊急事態が起きて間もない時期に標準的な国際規制として用いられることを想定した放射能濃度規制基準 / この被曝量が1年間続いても、腹部X線CTスキャン1回分と同等の被曝量)

東北関東大震災の件については専門家でも何でもないので当blogでは原則としてコメントしないつもりだったのですが(Twitterでは山のように呟いておりますが)、一つ重要な資料を見つけたので特にご紹介することにしました。

上記はWHOが震災による福島第一原発の非常事態発生以降定期的にupdateしている特別ページですが、その中に「I-131濃度が 300Bq/kg以下であること(乳幼児に対してはその3分の1の100Bq/kg)」という日本の放射能濃度規制基準が国際的に見てどのような立ち位置 にあるかを説明している箇所があったので、抜粋してみました。

簡単に言えば、既に各種大手メディアやSNS / Twitterなどでも報じられている通り、現行の「大人:300Bq/kg未 満、乳幼児:100Bq/kg未満」という水道水の放射能濃度(特にヨウ素131)の規制基準は「仮にそのまま1年間汚染された水道水を飲み続けても、自 然界の放射線に日常的に晒されて被曝する放射線量とせいぜい同じぐらい」に設定してあり、健康被害がそもそも生じないレベルに厳しく抑えてあるということです。

ただし、放射線被曝に対する感受性(わかりやすく言えば健康被害が生じるか否か)は個人差が大きいということもあり、必ずしもこの通りになるわけで はないのも事実です。特にヨウ素131は普段から海藻類などヨウ素の多い食品を食べている人は吸収しにくい傾向があり、それゆえ海藻類を常食する日本人は ヨーロッパ人よりも遥かにヨウ素131による放射線被曝に対して「強い」とも言われています。

ともあれ、この資料が「水道水に放射性ヨウ素が!」というニュースに悩まされている方々のために少しでもお役に立てばと願う次第です。

(注意事項)

IAEA GSG-2などを見ると書いてありますが、(2)-(4)のガイドラインはあくまでも「原発事故などの緊急時において短期的に適用されるもの」であり、長期化するようであればこの限りではないという点に注意が必要です。

例えば、IAEA GS-R-2は総被曝量(空間放射線被曝のみならず内部被曝も勘案する)に基づいて避難するか否かをどうやって決めるか?という点に関して、以下のように書いています。

III?6. The generic optimized intervention levels for initiating and terminating temporary relocation are 30 mSv in a month and 10 mSv in a month, respectively. If the dose accumulated in a month is not expected to fall below this level within a year or two, permanent resettlement with no expectation of return to homes should be considered. Permanent resettlement should also be considered if the lifetime dose is projected to exceed 1 Sv.

(一般的な基準として、月間の放射線被曝量が30mSvに達した時点で一時避難を開始し、10mSvまで下がったところで帰還を認める。ただし、月 間被曝量が1?2年に渡ってこれらのレベルを超え続けるようであれば、一切の帰還・立入を認めない「永久退去」を検討するべきである。同様の「永久退去」 は、その土地での障害被曝量が1Svを超える場合にも検討されるべきである)

これはさすがに極端な例ですが、言い換えると「1?2年も通常レベルよりもずっと高い放射線被曝が続くようなら根本的に移住するなり検討しなければならない」ということです。即ち、現在の「緊急時の基準」が何ヶ月も何年も続くようなら、やっぱり安全ではないというわけです。この点を忘れないでいただきたいと思います。

引用元: WHOの「飲用水の安全性について」は必読 ? 大「脳」洋航海記.

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