“時間”はあと50億年で終わる?

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宇宙が誕生して約140億年。今後も延々と存在し続けると考えている人は多い。しかし、“時間”そのものがあと50億年で終わるとする新たな研究成果が発表された。偶然にも、太陽が最期を迎える時期と重なっている。

“時間”はあと50億年で終わる?

この予測は、われわれが住むこの宇宙は多元的宇宙の一部であるとする永久インフレーション理論に基づいている。その広大な構造は無数の宇宙から構成されており、各宇宙はさらに無数の孫宇宙を生み出すことができるという。

多元的宇宙の問題は、「起こり得ることは何回でも無限に起こり得る」としている点だ。この理論では、例えば「地球サイズの惑星が無数にある」確率を計算することなど、ほとんど無意味になってしまう。

アメリカ、 マサチューセッツ州にあるタフツ大学のケン・オルム(Ken Olum)氏はこの点について、「イベントAが2回、イベントBが4回起きる場合、イベントBの発生率はイベントAの2倍と考えるのが普通だが、この理論 では違う。なぜなら2回も4回もなく、常に無限だからだ」と説明する(同氏は今回の研究に参加していない)。

とはいえ、この多元的宇宙の確率に関する問題は、宇宙学者にとっては問題でも何でもないらしい。

カリフォルニア大学バークレー校の理論物理学者ラファエル・ブソー(Raphael Bousso)氏らの研究チームは、「宇宙全体で無数の人が宝くじに当たるのなら、当選の確率など誰も気にしない」と今回の論文中で述べている。

物理学の世界では、幾何学的カットオフ(geometric cutoff)と呼ぶ数学的手法でこの問題を回避してきた。無限に続く多元的宇宙を途中で打ち切り、その有限のサンプルを使って確率を計算するというものだ。

しかしブソー氏らの研究チームは、「この手法には隠れた落とし穴がある」と述べている。

「カットオフ(宇宙の有限化)手法を単純な数学的ツールとしては使用できない。なるべく正しい予測を出そうと考案されたカットオフ手法だが、時間の終わりまで予測してしまうのである。

つまり、永久インフレーション理論の中でカットオフ手法を使用して確率を算出すると、カットオフそれ自体、そして時間の終わりが“あり得る出来事”になってしまうのだ」。

このような奇妙な欠点があるにはあるが、ブソー氏らは永久インフレーションを確かな概念だと考えている。同理論の根底にあるアインシュタインの相対性理論などの科学的な前提は、「どれも問題らしい問題がなく代替の見あたらない理論」だという。

実際、多くの物理学者は永久インフレーションについて、標準のインフレーション理論から生まれるべくして生まれた当たり前の拡張版だと考えている。オリジナルのビッグバン理論にまつわる問題のいくつかは、インフレーション理論によって解決された。

ビッグバンの初期モデルでは、宇宙の両端にある物質はあまりに遠く離れているため、相互に作用したことがないとされる。つまり初期宇宙は一様ではなかったという考え方だ。

また、宇宙の現在の膨張率なら、宇宙の全体的な形状は時間の経過とともに屈曲していなければおかしい。さらに、宇宙誕生の瞬間、宇宙全体は重くて安定した粒子「磁気単極子」で満たされたはずである。

しかし、数年前からビッグバンの名残である放射線が観測されているが、結果はまったく逆の内容を示している。初期宇宙は一様であり、現在の宇宙は平坦で、磁気単極子などまったく観測されていない。

これらすべての問題を解決する標準インフレーション理論は、宇宙は誕生直後に一気に膨張した後、しだいに安定して現在観測されるような平坦で一様な宇宙が作られたとしている。

永久インフレーションは標準インフレーション理論の次のステップであり、宇宙論の難問をいくつかクリアすることができる。例えばこの宇宙の誕生前は何が 存在していたかという疑問には、「別の宇宙があった」と答えることができ、なぜこの宇宙には生命が誕生し得たのかという問いには、「あらゆることはあり得 るから」と答えられる。

しかし永久インフレーション理論も、多元的宇宙の確率の問題が示すようにまだ完璧ではない。

「多元的宇宙で確率に有効性を見出すなら、多くの宇宙を終わりに導くカットオフも現実のものと考えなければならない」と、研究チームのリーダーであるブ ソー氏は指摘する。カットオフを計算するために使用する公式を当てはめると、誕生から137億年の宇宙はあと50億年ほどで終わりを迎えるという。

現実のカットオフがどのようなもので、時間の終わりがどのように訪れるのか研究チームも答えを見出せていない。ただし、もし本当に起こるとしたら、何の予兆もなく突然に訪れると予想されている。 そして、カットオフの到来を人間の目で確認できるとしても、地球から見ることはできないだろう。

誕生から45億7000万年ほど経過した太陽も、約50億年後に寿命を迎えると考えられている。その頃には太陽は中心核の燃料を失い、外層のガスを放出し始める。膨張した太陽は赤色巨星と化し、最終的に惑星状星雲となって一生を終えるのだ。

このときに地球がどうなるのか不明だが、太陽の死後も地球上に生命が存在できると考える科学者はほとんどいない。

論文は、コーネル大学図書館が運営するWebサイト「arXiv.org」で先月から公開されている。

ニュース – 科学&宇宙 – “時間”はあと50億年で終わる?(記事全文) – ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト.

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